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かつめしは、数年ごとに小さなブームになる。どこかのメディアで取り上げられては盛り上がりを見せるが、その盛り上がりは持続せずに、なんとなく時間の中に流されていってしまう。

今は、再びその小さなブームの時なのか、かつめしがやたらいろんなメディアに登場することが多くなった。

姫路のNPO法人が発行するフリーペーパーや、広告代理店が発行するタウン誌、神戸新聞の購読者に配られる小冊子などでもかつめしが紹介され、数件のお店が登場している。

例のご当地商標からご当地グルメが脚光を浴び、その余波としてかつめしにもスポットが当たることが多いということなのだろうが、どこかレトロはイメージがあることから、レトロブームの余波も相乗しているのだろう。

「かつめしとは、ご飯の上にビフカツをのせ、デミグラスソース系にタレをかけ、茹でたキャベツを添えた箸で食べられる洋食」これが、かつめしの定義として一般化している。

しかし、これは全国に似たような調理方法が存在していて、いや、むしろ誰でも考えつくことである。

皿を洗うのがじゃまくさいから1枚の皿の上でやきぞばとご飯を乗せて食べていたのが、作る段階から一緒にしちゃえと「そばめし」ができたような革新的な工夫もないし、糸をひく納豆を食べたほどのパラダイムシフトも感じられない。

実際、かつめしに良く似た料理は全国に存在していて、よく知られるところでは北海道のエスカロップがあるが、これは寒い地方ならではのご飯のかわりにバターライスを使うそうである。

加古川のかつめしが、かつめしである特徴としては肉を薄く叩いてのばすという料理のコツと牛肉を使うのが主流とされているところだろう。横に添えられたゆでたキャベツがソースとからまり、絶妙のサブキャラクターとして存在しているのは捨てがたい特徴ではあるが、まあそれは調理上の副産物であろう。

この薄く肉を叩くというのは、いわゆる「ケチ」の発想である。また豚ではなく牛を使うのは加古川は古くから神戸牛のふるさとといわれる牛肉の産地であったため、売り物のいならない牛肉は、豚肉よりも手に入りやすかったからではないだろうか?

かつめしのルーツには様々な説があるが、いずれも限りなくまかない料理に近いものだが、簡単に安く、手軽にというかつめしの特徴に符号するのだ。

今回、かつめしマップを制作して肌で感じたかつめしの魅力。それは、かつめしの多様性にあるのだと思った。店によっては「これはカツライスだけど、ソースがかつめしかな?」というものまであり、実に多様性に富んでいるのだ。

そんな多様性のあるかつめしについて、あれこれ議論がわき起こる。ルーツ説からソースの種類の好み、どこの店がウマイ、そしてその議論はけっして落としどころを持たない。それはそうだ。それがかつめしの多様性なのだから。

ウマイということばに定義をつけられないのと同じことだ。

そして、その「かつめし談義」できる食い物、それこそがかつめしの最大の特徴であり、魅力である。けっして大きなブームにならない。それもこのかつめしの多様性のなせる技だ。

「この前、ふらりと入った喫茶店でかつめし見つけてん。メニューにはカツライスって書いてあったけどな。これがまためちゃくちゃウマイねん」
「ほうほう、それは今度いってみんとな。ソースはどうなん?」
「ちょっと甘めかな?」
「ワシは、甘いのはなぁ。よし、今度いってみよう」

こういった、出会える楽しさ、談義のたのしさ。それこそが、かつめしのかつめしたる魅力である。(2004/4/27)


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